ひざには灸が効く?
まあそうだけどね…。
効かない場合もあるんです。
どうして効かない場合もあるかって?
それはね…。
何故、灸が効くのか?を明確に示さないから!
まず、前提として考えてほしいことがあります。
- 灸は、「方法・手段」である。
- 何故、「方法・手段」が必要なのかといえば、「悪い状態(現象・実態)」を解決したいからである。
- 「悪い状態(現象・実態)」を無視して、お決まりの「方法・手段」を実施したら、偶然良くなるという偶発的な「結果」しか生まれない。
- 適切な治療は、異常な場所の現象・実態を見つけて、最良の方法・手段により、最善の結果を必然的に導くことを目標とすべき。
この至極当たり前のことを無視して、方法だけを論ずる輩がいるから、物事が間違った方向へ行ってしまうのです。
上の図は、私のセミナーで話すときの資料ですが、いわゆるPDCAサイクルに則った説明です。
今回の「ひざには灸が効く」という一節に不足しているのは、「ひざが○○な状態なら○○の灸が効く」と言わないといけないのに、それが無いから問題なのです。
ちなみに、最近流行の台座灸ですが、これは知熱灸がその原型です。
知熱灸は、熱を患部に感じさせることが目的で緩やかに気を補う方法です。(補法)
これを行うべき患部の状態は、気が少なくなった虚の場所です。(少し専門的な言い方ですが…。)
真っ赤に腫れあがって発熱している患部に気を補うようなことをすると、単なる苦痛です。(これは専門的には実の状態です。)
このように、やるべき場所にやるべき方法・手段を選ぶことが治療であり、その判断が付きにくいから専門家である我々がいるんです。
適切な場所にやらないと効果が無いものを誰でもできるように吹聴することは、半ば罪つくりであり、アンチ鍼灸を増やす結果にもなりかねません。
一時のブームに終わらせないためにも、業界の人間としては丁寧な解説をする努力を怠ってはならないと考えます。
業界全体が待っていたブームを一時的なものに終わらせないためにも、ひとりひとりの専門家が理解を得る真っ当な言い方をしていただきたいです。