自律神経失調症という言葉はかなり普及しているが、その実態を把握できている人は少ないように思う。
自律神経の失調とは何のことか、よくわからないで自律神経失調症という病を難治の良くわからない病気と捉えている節がある。
自律神経失調症というものを知るには、そもそも自律神経とは何かという位置づけを知る必要がある
神経を大きく分けると、中枢神経と末梢神経に分けられる。
コントロールセンターが中枢神経なら、枝葉の端末が末梢神経である。
その端末の末梢神経をまた大きく分類すると、体性神経(運動神経、感覚神経)と自律神経(交感神経、副交感神経)に分けられる。
体性神経の役割は、運動神経が主に中枢から発せられた運動命令を骨格筋に伝えること、感覚神経が主に感覚器でとらえられた各種の感覚を中枢に伝えることであり、その働きを自覚することができる。
対して自律神経とは、自ら律する(ある基準に照らして物事をただす)神経であり、自分の意志とは関係のないところで勝手に自動調整してくれる神経であるため、その機能を自覚できることはほとんどない。
自律神経は自動制御されているため、勝手に作業をしてくれているわけだが、この自動制御の調子がうまくいかなくなったから、失調症という名前が付いているのである。
この自律神経は、交感神経と副交感神経の二つに分けられ、この二つの神経は拮抗(勢力がほぼ等しく、お互いに対抗)している。
古代の狩猟生活を例にするとわかりやすいが、交感神経は主に狩りをしている時に働く興奮・活動の神経系、対して副交感神経は主に食事をとってからリラックスしている時に働く鎮静・休息の神経系である。
いわば、自律神経失調症とは、この2者のバランスがうまく保てなくなった状態といえる。(その2へ続く)