考えてみると、副交感神経の分岐点である頚や腰というのは神経系の要衝である。
頚からは頭の表面部の神経ばかりでなく、腕の神経、内臓の神経が分岐する場所であり、頚が楽であるだけで身体全体の調子はかなり良い方に変化する。
腰からは排泄系の内臓の神経と脚の神経が分岐するため、腰もまた身体全体の体調に影響を与える。
交感神経で考えてみると脊柱全部であれば若干副交感神経よりも範囲は広いものの、背中全体のコリはよく聞く訴えではある。
背中の凝っている箇所を緩めると呼吸が楽になったり、吐き気が治まったり、頭痛が楽になったりする。
これは単に骨格筋に作用しただけともとらえられるが、交感神経系への作用も当然あるはずである。(確かめる術がないので敢えてはっきりは書きませんでした。)
つまりは、一般的なコリの症状を治療することは、自律神経が失調になる前に、その兆候をとらえて治療することになる訳で、十分に予防を行っていることになる。
これこそが治未病(未だ病まざるを治す:※上工治未病.中工治已病)である。
ただ、多くの来院患者様は、鍼灸治療を最後の砦的に考えている方が多く、残念ながら拗らせてからおいでになるケースが多いのが現状ではある。
勿論、それでもあてにされる存在であるということはうれしい限りである。
だが、できれば、治未病の段階で処理できるタイミングでおいでいただく方が、治療が簡単で回復が早いので望ましいことには違いない。
鍼灸治療はできれば、養生の一部にしていただいて定期的に通っていただく方が、本来の目的である「治未病」の目的を達することができるはずである。
※上工治未病.中工治已病:上工は未だ病まざるを治し、中工はすでに病むを治す。