上肢がひねられて与えられる効果は、頚部の筋が動くことのほかに、他の部位に影響を与える効果もある。
今度は下半身に目を移すと、上肢のひねりの影響を受けて骨盤がひねられる。
骨盤の左右ひねりでは、深層にある傍脊柱筋群と表在の内・外腹斜筋の働きが強く起こる。
日本人はきもの文化のせいで、裾が乱れないように骨盤をひねらずに股関節を中心とした歩き方の人が多い。
この歩き方では、前述の左右ひねりに使った筋肉よりもむしろ腸腰筋の働きが強い歩き方となる。
この腸腰筋は、股関節を中心に大腿骨を屈曲させる働き、すなわち膝を高く上げるような動きを行う筋である。
この歩き方の欠点は、疲れてくると腰をかがめた歩き方に陥りやすいところにある。
対して、骨盤をひねって歩くと、背筋を曲げて歩くことのほうが難しい。
背筋を伸ばしていないと骨盤と上肢の逆ひねりはやりにくいので、自然と背筋が伸びた歩き方となる。
背筋が伸びない悩みはよく聞くので、この種の説明はしょっちゅうするのだが、聞いた瞬間には理解していただけるものの、自力で改善したのを見たことがない。